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ビジネスブロックチェーン本格展開のためのプラットフォーム「IBM Blockchain Platform」

はじめに

ブロックチェーンは近年最も注目されているテクノロジーの 1つです。ブロックチェーンはビットコインを代表とする仮想通貨のための技術にとどまらず、ビジネスの課題を解決する技術として期待されています。金融業界だけでなく、様々な業界で活用が始まっており、最近ではコンソーシアム型ブロックチェーンが盛り上がりを見せています。コンソーシアム型ブロックチェーンはビットコインなどの不特定多数の参加者がネットワークに参加できるパブリック型とは違い、参加者が特定されているのが特徴です。これらの事例ではブロックチェーン基盤として Hyperledger Fabric が活用されています。Hyperledger Fabric は Linux Foundation が管理するオープンソースのブロックチェーン基盤です。Hyperledger Fabric の詳細については「Welcome to Hyperledger Fabric」をご参照ください。

IBM は Hyperledger Fabric を採用したブロックチェーンサービスを展開しています。

今回はコンソーシアム型ブロックチェーンネットワークを展開するための、上記の事例でも活用されている、IBM のブロックチェーンサービスの 1つである「IBM Blockchain Platform」についてご紹介します。

IBM Blockchain Platform とは

IBM Blockchain Platform はスマートコントラクト (チェーンコード) の開発を支援する環境とブロックチェーンのユースケースを本番展開するための PaaS を提供しています。

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スマートコントラクト (チェーンコード) の開発を支援する環境は Developer Sandbox と呼ばれる環境を提供します。Developer Sandbox では Hyperledger Composer を活用し、すばやくブロックチェーンアプリケーションを作成しテストすることができます。

Developer Sandbox の使い方

Hyperledger Composer とは: Hyperledger Fabric と同様に Linux Foundation が管理するオープンソースのテクノロジーで、Hyperledger Fabric のアプリケーション開発フレームワークです。詳しくは「Welcome to Hyperledger Composer」をご参照ください。

PaaS 環境は、IBM Cloud で提供しています。IBM Cloud のカタログから選択することができ、簡単にブロックチェーンネットワークを立ち上げることができます。

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PaaS では、以下の 4つのプランを提供します。

  • Starter : IBM Blockchain Platform のお試しプラン
  • Enterprise : 本番展開のためのプラン
  • Enterprise Plus : セキュリティや性能要件が厳しい業界向けプラン
  • Self Managed : Enterprise、Enterprise Plus プランの Peer をリモート環境に構築出来るプラン

2018年3月現在、Starter プランと Enterprise プランを提供しています。Starter プランは2018年3月から Beta 版の提供を開始し、間もなく一般提供される予定です。Starter プランについてはこちらのブログ「IBM Blockchain Platform Starter Planで始めましょう」をご参照ください。なお Enterprise Plus プランおよび Self Managed プランについては今後リリース予定です。名称や内容等は変更される可能性があります。

この記事では、昨年から一般提供されている IBM Blockchain Platform Enterprise プランについてご紹介します。

”すぐに使える” IBM Blockchain Platform Enterprise プラン

IBM Blockchain Platform Enterprise プランのブロックチェーン基盤には、IBM が独自に開発したものではなく、Hyperledger Fabric そのものが実装されています。

またブロックチェーン基盤だけでなく、Hyperledger Fabric を管理運用するツールやコンソーシアム運営を支援するツールなどの周辺機能も備えています。

Hyperledger Fabric の管理運用は GUI で分かりやすく誰でも簡単に行うことができます。以下の図が IBM Blockchain Platform Enterprise プランの管理画面です。Peer の追加、削除や、チャネルの作成、チェーンコードのデプロイなど必要なアクションが全て画面上から行うことができます。また、新たに参加者をネットワークに招待する場合も画面上から行います。参加者の名前と代表の電子メールアドレスを入力するだけネットワークに招待することができます。招待された参加者はすぐに Peer を立て、ネットワークに参加し、システムを管理することができます。従来だと参加者がそれぞれ独自に立てた Peer の IP アドレスを確認し、それぞれを接続するといったような手間がかかります。参加者が少ないうちは問題無さそうに見えますが、参加者が増加した場合、そのような作業はとても煩雑なプロセスになってしまいます。IBM Blockchain Platform Enterprise プランはこのようなプロセスをシンプルにし、持続可能なブロックチェーンプラットフォームを提供します。

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また、ブロックチェーンネットワークを運営するためには、ネットワークへの参加者を決める仕組みだけでなく、ネットワークの参加者間のルールを持つことが必要です。IBM Blockchain Platform Enterprise プランでは、例えば、ネットワークに参加者を招待出来る権限やチェーンコードをインストールできる権限、チャネルを作成出来る権限などを参加者ごとに設定することができます。これらの機能も全て上記の管理画面から行います。

オンプレや IaaS でブロックチェーンネットワークを構築した場合、ブロックチェーン基盤だけでなく、上記のような周辺機能も全て自前で構築する必要があります。

IBM Blockchain Platform Enterprise プランはこういった手間を無くし、すぐに本番で使える環境を提供することでユースケースやブロックチェーンアプリケーションの開発に注力することができます。

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また IBM Blockchain Platform Enterprise プランはハイレベルなセキュリティも備えています。

ブロックチェーンは耐改ざん性が高いことがメリットの 1つですが、例えば管理者権限への不正アクセスによるなりすましなどは従来通りのセキュリティ対策が必要です。

IBM Blockchain Platform Enterprise プランでは Secure Service Container というコンテナ技術を実装しています。Peer や Orderer などの Hyperledger Fabric のノードは Secure Service Container 上で起動します。Secure Service Container は起動時にマルウェアを自動検知する機能や管理者権限でさえもアクセスすることができない機能を提供します。

また、実行基盤には IBM のメインフレームを活用しています。メインフレームで培った HSM や隔離技術といったハードウェアレベルのセキュリティも充実させていることが特長です。

IBM Blockchain Platform Enterprise プランで作るブロックチェーンネットワーク

IBM Blockchain Platform Enterprise プランを用いたブロックチェーンシステムの全体像が以下の図です。

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Go 言語で記述したチェーンコードだけでなく、もちろん Hyperledger Composer で作成したブロックチェーンアプリケーション (BNA ファイル) をデプロイすることも可能です。

ブロックチェーンネットワークの各参加者はビジネスアプリケーションからトランザクションを発行し、IBM Blockchain Platform 上のチェーンコードや BNA を実行します。

IBM Blockchain Platform を用いて、複数参加者でブロックチェーンネットワークを組んだ場合のイメージが以下の図です。例えば船会社が IBM Blockchain Platform でブロックチェーンネットワークを作成した場合、船会社が他の参加者 (運送会社、港湾、銀行) をブロックチェーンネットワークに招待をします。それぞれの参加者はブロックチェーンネットワークに参加し、用意された自分のピアに対してトランザクションを発行し、ビジネスを行います。

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まとめ

この記事ではコンソーシアム型ブロックチェーンネットワークを構築するための IBM Blockchain サービスの 1つである IBM Blockchain Platform Enterprise プランについてご紹介しました。

IBM Blockchain Platform はコンソーシアム型ブロックチェーンネットワークの本番展開に必要な要件を兼ね備えるフルマネージドのブロックチェーンプラットフォームです。

ブロックチェーン基盤構築や運用管理の手間を省力化することで、ユースケースやアプリケーション開発、コンソーシアムの運営に注力できます。