ブロックチェーン対応の保険アプリを構築する  

Hyperledger Fabric を使用して、Web ベースのブロックチェーン対応の保険アプリケーションを構築する

Last updated | By Ishan Gulhane

Description

ブロックチェーンはその分散型レジャー、スマート・コントラクト、否認防止機能によって、金融機関による取引の方法を革命的に変化させていますが、保険業界もその例外ではありません。今回紹介するコード・パターンでは、保険の販売と請求の両方を容易にする、Hyperledger Fabric を使用した Web ベースのブロックチェーン対応アプリをどのようにして実装するのかを説明します。

Overview

Updated to support Hyperledger Fabric V1.1

私たちの多くが体験しているように、車の接触事故を起こすと、保険会社、警察、そして相手の運転手との対応にどれだけの時間と労力を費やすことになるのかとひどく不安になります。比較的円滑に事が運んだとしても、スケジュールにかなりの支障をきたすことに変わりはありません。

けれども開発者として事態を逆転させて、保険業界に抜本的な改革をもたらし、自分自身の体験だけでなく、同じような不都合や遅れ、また管理上のフラストレーションに対処する世界中の数えきれない人々の苦労を軽減できるとしたらどうでしょう?そのチャンスは、ブロックチェーンにあります。

保険業界にとって、ブロックチェーンは非常に大きなチャンスを与えてくれるテクノロジーです。ブロックチェーンによって、データの交換方法、請求の処理方法、不正の防止方法に関する状況を革新するチャンスがもたらされます。ブロックチェーンは、技術系企業の開発者、規制機関、保険会社を引きあわせて、新しい保険管理資産を創り出すことを可能にするのです。

自然な組み合わせ

共有インフラストラクチャーとして機能する、ブロックチェーンの分散型レジャー、スマート・コントラクト、否認防止機能を使用すれば、保険関連のあらゆる類の処理の形を変えることができます。現在、保険金請求処理の多くは手作業で行われているため、エラーが発生しやすく、かなりの処理時間を要することもあります。複数の基幹システム内で同じデータの異なるバージョンが存在することが原因で、追加のコストや長時間にわたる争議が発生することも珍しくありません。

ブロックチェーンを使用して、保険加入者、給付資格、請求データに関する情報を共有すれば、手作業によるプロセスが自動化されます。スマート・コントラクトには、ブロックチェーン・ネットワークへの参加者の登録および検証ルールが計算によってエンコードされます。データを共有し、このようなスマート・コントラクトで計算することで、ダウンストリームの争議は減少します。また、保険給付の検証は複数のデータ・ソースに基づいて行われ、しかもこれらのデータ・ソースにはすべてのサービス・プロバイダーが簡単にアクセスすることができます。

要するに、ブロックチェーン・テクノロジーは、保険業界が業務の効率化、トランザクションの処理コストの低減、カスタマー・エクスペリエンスの向上、データ品質の改善、関係者間の信頼強化を実現するチャンスを提供しています。

このコード・パターンをひと通り完了することで、機能的なブロックチェーン対応の保険アプリを構築する方法を把握できます。ここで構築するアプリでは、4 種類の参加者 (ピア) を扱います。

  • 保険会社
  • 警察
  • 修理工場
  • 小売店

「保険会社」ピアは、製品 (この例では、自動車) に対する保険を提供し、保険金の請求を処理する会社です。「警察」ピアは、事故や盗難の申し立てを検証します。「修理工場」ピアは、製品の修理を行います。「小売店」ピアは、消費者に製品を販売します。

仕組み

このアプリの実際の仕組みはどのようになっているのでしょうか?一例として、スポーツ・ファンの Susie が新しい自転車を購入することにしました。自転車店を訪れた彼女は、ロード・レーサーの掘り出し物を見つけます。購入プロセスの一環として勧められた保険契約に対し、彼女は保険を掛けておくことは重要であると同意し、保険の契約をします。その際、自分の個人データを提供し、契約の発効日と終了日を指定します。この契約が処理されると、チェーンコードに組み込まれた式によって、日割計算保険料が計算されます。すべての書類が揃うと、Susie にはアプリの資格情報が提供されます。保険金の請求をする場合、彼女は随時、この資格情報を使用してアプリにログインできます。ここまで終わった時点で、ブロックチェーンにこのトランザクションを保守するためのブロックが書き込まれます。

保険契約を結んでから 10 日後、Susie が自転車でバークレー・ヒルズを訪れた際に、自転車が盗まれてしまいました。警察に盗難届けを出した後、Susie はアプリ上でセルフサービス・タブを開いてログインし、盗難について保険会社に報告して保険金請求を申し立てます。彼女がこの申し立てを送信すると、それは別のトランザクションとしてブロックに書き込まれます。申し立てはまず、警察によって処理されます。自転車が盗難に遭ったことを、警察が確認または否定するためです。この例では、警察は盗難を確認し、この申し立てに参照番号を割り当てます。すると、別のブロックが請求に書き込まれます (これと同じように、Susie が自転車に損傷を与えることになった事故に対する保険金請求を申し立てた場合は、警察ではなく、修理工場が申し立てを処理することになります)。保険会社はブロックチェーン上でアクティブなすべての保険金請求申し立てをモニタリングします。警察が確認結果を送信すると、保険会社はその確認を受けて、保険金請求に対して還付金を送信します。前のトランザクションの場合と同じく、還付結果がブロックチェーンに書き込まれます。Susie は保険会社から保険金が支払われたことを確認して、ひと安心しました。けれども自転車を取り戻せたとしたら、彼女はもっと幸せだったことでしょう。

保険会社には、特定の契約を有効または無効にする選択肢があることに注意してください。これは、顧客が結んだ契約を無効にするという意味ではなく、特定のタイプの保険については新しい契約を許可しないというだけです。さらに、保険会社は、異なる契約条件または異なる価格構成を設定した新しい契約テンプレートを作成することもできます。

この Web ベースのアプリケーションは Node.js と Reacts で作成されていて、アプリケーションのチェーンコード (つまり、スマート・コントラクト) は Go 言語で作成されています。

次に自動車 (またはサイクリング) 関連のちょっとした不幸に見舞われたとしても、その事故に伴う混乱について思い悩まないでください。このコード・パターンに従ってブロックチェーンのスキルを磨けば、業界全体を抜本的に改革できるようになります。

Flow

  1. ピアの証明書を生成します。
  2. ネットワークの Docker イメージをビルドします。
  3. 保険ネットワークを起動します。

Related Blogs

IBM Developer へようこそ

新しい IBM Developer へようこそ!私たちはこの新しいプロジェクトに大いに張り切っていますが、まずは皆さんについて、つまり開発者についてお話ししたいと思います。 私は開発者である皆さんを称賛します。私自身も開発者として、この業界で起きていること、つまりクラウド、データ/アナリティクス、人工知能、トランザクション、ブロックチェーンのコンバージェンスを目にしていますが、開発者の皆さんの、文字どおりすぐに新しいテクノロジーに対応する能力に心から敬服します。これまでの歴史全体を通して、ソフトウェア開発者という職業を、今ほど誇らしく思える時代はありません。IBM での私たちの使命は、開発者という専門的職業を、世界で最も尊敬すべき、最も需要の高い職業として受け止められるようにすることです。 なぜなら、開発者は毎日、未来を築いているからです。このサイトは、皆さんと一緒に築いていきたい未来を映し出し、讃えるためのものです。 私たちのチームは、開発者のアドボケイト (支持者)、デザイナー、コンテンツ編集者で構成されています。この有能なチームが、必要なツールを確実に開発者に提供できるよう、全力を尽くします。 間違いなく、このサイトは皆さんのサイトです。私たちは開発者の価値観を反映するために、コード、コンテンツ、コミュニティーからなる IBM Developer サイトを立ち上げました。私たちがこのサイトで目標としているのは、皆さんが開発者としての責務をより迅速に、よりスマートに、より効果的に果たせるよう支援することに尽きます。 この目標を達成する IBM Developer ならではの手段として、コード、コンテンツ、コミュニティーを 1 つのエンティティーにまとめています。 コード 開発者の能力は、開発者が世に送り出すコードにそのまま反映されます。開発者の能力がコードの威力を超えることはありません。だからこそ、開発者が非の打ちどころのない美しいコードをより迅速に作成し、競争相手よりも迅速にコードをデプロイして市場に送り出せるようサポートすることが、私たちの任務だと思っているのです。ただそれだけです。 IBM Developer を開始するきっかけとなったのは、開発者にフォーカスしたサイトを作成したらどうだろうかというアイデアです。そのサイトでコードを前面に押し出し、実際の問題を解決することを重点に置き、開発者がその責務をより迅速に、よりスマートに、より効果的に果たすために利用できるようにするには、どこから始めればよいだろうか考えました。 答えは明白です。コードが出発点となります。 開発者の目標は、開発者自身と同じく、それぞれに異なります。意図も、情熱も、才能もそれぞれに異なる開発者が取り組むプロジェクトは、とんでもなくシンプルなものから気が遠くなるほどに複雑なものまで、多岐にわたります。 独自のアプリケーションを開発して数分で稼働できるよう開発者をサポートするためには、すぐに使えるコードを用意し、開発者が簡単にそれを入手してフォークし、本番アプリケーションに組み込めなければなりません。単純にとらえ過ぎていると思われるかもしれませんが、文字どおり単純な話なのです。そして、コードをすぐに利用できるようにする手段となるのが、私たちが作成するコンテンツです。 コンテンツ 開発者が利用するコンテンツについてと、そうしたコンテンツをどのような方法で利用したいかについて、開発者たちとかなりの時間をかけて話し合いました。その結果、クラウド、データ、AI、ブロックチェーンなどのテクノロジーを使用して特定の機能をアプリケーションに統合する方法を垣間見られる、数百のコード・パターンを作成することになりました。どのパターンをクリックしても、最初に表示されるのは、コードを取得するための「コードを入手する」ボタンです。このボタンをクリックしてコードを取得し、開発を始めることができます。 コード・パターンはこのサイトの特徴的なコンテンツですが、その一方で、皆さんは特定のテクノロジーを使用して特定のタスクに取り組む方法について理解するためのチュートリアルもお望みのはずです。そこで、コンテキストを説明し、最先端のテクノロジーに関する理解を広げる、SME による数々の記事も用意しています。また、IBM Developer 動画デモでは特定のテクノロジーを使用する手順を案内し、インタビューでは最新の傾向に対する業界トップの見解を紹介しています。さらに、ニュース・セクションでは、テクノロジー分野での最新の動向に関する洞察を得ることができます。 テクノロジー分野といえば、IBM Developer の寄稿者たちがフォーカスしている主なテクノロジー分野は 20 を超えていますが、コンテンツには 50 以上の主題別にタグを付けているので、探しているコンテンツを簡単に見つけられるようになっています。私たちは IBM であり、開発を公にすることの価値を信じています。このことから、サイトでは全体にわたって、オープンソース・テクノロジーを大きく取り上げていることを見てとれるはずです。200 を超えるオープンソース・プロジェクトを話題にしたコンテンツに、ワンクリックでアクセスできます。これらのプロジェクトを利用して、変更を加え、その成果を IBM Developer にコントリビュートしてください。 私たちは多言語のマルチクラウドの世界に生きているので、IBM 社員以外の人々からの話も聞きたいはずです。そのため、今後数週間にわたり、開発者コミュニティーに大々的にコントリビューションを公開することになっています。そうです。コンテンツに対するこうしたアプローチをオープンソースのように公開することで、より大きなコミュニティーからのコントリビューションを促そうとしているのです。 公開したコンテンツのすべては、エラスティック・サーチを通じて一体化されます。 コミュニティー IBM Coder Community は、開発者たちに、イノベーションを生み、アイデアを交換し、学習する場であるコミュニティーに参加してもらうためのものです。つまり、開発者同士を結び付けて経験を共有するハブの役割を果たします。 IBM...

続けて読む IBM Developer へようこそ

Call for Code Challenge 2018(9/28応募締切!)- まずは参加登録して、自然災害に役立つ IBM Cloud のサービスに触れてみよう

みなさまこんにちは! 年々、テレビのニュースや新聞を見て、異常気象による集中豪雨や猛暑が各地で発生していると感じている方は多いのではないでしょうか。自然災害による甚大な被害をもたらしているのは日本だけではありません。「自然災害」は、今、世界が立ち向かうべき最も大きな試練となっています。 IBMは、2018年5月24日、パートナー団体と共に「Call for Code」をいう取り組みを発表し、世界中のデベロッパーが最新の技術を駆使して、コードで世界にポジティブな変化を与える支援をはじめました。 2018年の Call for Code チャレンジでは、「自然災害」をテーマに自然災害を打ち破り、地域社会や自然災害対策を強化を目指し、IBM Cloud サービスを活用したソリューションを構築するコンペティッションを開催します。18歳以上の個人または最大5名までのチームで参加することができます。優勝チームには USD200,000 (2,200万円相当) が贈られます。 これを機に皆さんにも「Call for Code」にご参加いただき、クラウド、データ、AI、ブロックチェーンを活用するためのIBMのテクノロジーにも触れていただければと思います。詳しくはサイトをご覧ください。 Call for Code(日本語サイト) Call for Code への参加するまでの手引き(日本語解説資料) IBM Code Patterns : Watson を活用した AI やクラウドなどのアプリ開発に役立つサンプルコードを提供

続けて読む Call for Code Challenge 2018(9/28応募締切!)- まずは参加登録して、自然災害に役立つ IBM Cloud のサービスに触れてみよう

Related Links

GitHub

Check out the source code for Hyperledger Composer V0.19.3.

Architecture center

Learn how this code pattern fits into the Blockchain Reference Architecture