この記事は「Call for Code finalist: Emergency network provides uninterrupted bank services(2018年11月8日公開)」の翻訳です。

史上最大の地震の 1 つとして数えられる 2008 年の四川大地震が発生したとき、中国農業銀行 (ABC) は被災者たちに緊急支援と金融サービスを提供しようと試みました。

けれども、銀行カードや写真付き ID を失くすなどといった、いくつかの泣き所が災害によって生み出され、同行は思うように顧客にサービスを提供できませんでした。

「この 10 年の間、世界中で多くの自然災害が発生しています」。ABC 研究開発センターで副総支配人を務める Wang Yi の言葉です。「私たちは被災者への金融サービスを改善することを目指しています」。

こうしたサービスの改善を目的に、ABC の開発者たちは Call for Code の呼びかけに応じ、United Aid Net (UAN) を作成しました。UAN は、自然災害の発生時も復旧時も中断することなく金融サービスを提供するためのグローバル緊急支援ネットワークです。顔認識に基づく預金引き出しとブロックチェーンを基に構築されている UAN は、災害時に家族や友人との間で一時的に金融サービスを共有することを可能にします。

仕組み

このソリューションを開発したのは、北京を拠点とするチーム Green Coder です。Dong Xiaojie、Liu Xu、Liu Bo、Huang Zhiming、Liu Jiajie からなるチームが開発したこのソリューションは、2018 Call for Code Global Challenge で最優秀作品に選ばれました。

「UAN は、金融機関ネットワークと家族ネットワークという 2 つのネットワークで構成されています」。ABC でアプリケーション・プラットフォーム開発ネットワークの副総支配人を担当する Xiaojie は、このように言っています。「現在、私は UAN に契約していて、ABC アプリで自分の兄を受取人として指定しています。これにより、私の家族ネットワークが形成されています」。

バンキング・アプリで血縁者を受取人として指定することに加え、金融機関も UAN 参加を申請する必要があります。災害が発生すると、政府が公式発表で該当する災害地域を宣言し、適用期間を定めて UAN サービスを有効にします。

その後は、UAN と提携している ATM で、顧客指定の受取人が顔認識機能を使用して現金を引き出すことができます。緊急時の預金引き出しで発生した銀行間取引の手数料の決算とその記録には、UAN の Hyperledger ベースのブロックチェーン・ネットワークで対処します。

UAN を作成するために、チームは IBM Blockchain Platform と IBM Cloud 上のサービス、Cloudant、Liberty for Java、Db2 の 3 つを利用しました。また、顔認識の部分では IBM Watson Visual Recognition も利用しています。

次のステップ

受取人側に関しては、UAN は効率性を高め、ユーザー・エクスペリエンスを改善するとともに、財政支援を受け取るまで数日かかるところをわずか 2 分に短縮できる可能性があります。銀行側に関しては、運用コストの削減、企業イメージの改善が期待できます。

この数年の間、ABC をはじめとする中国の多くの銀行が顔認識テクノロジーを採用するようになっています。現在、ABC の ATM のうち、12,000 台が顔認識による現金引き出しに対応し、日々の取引は 25,000 件に達しています。それでも、災害時に血縁者の口座から現金を引き出せない人々はまだいます。

「さらに多くの銀行と組織に UAN への参加を呼びかけようと思っています」。Xiaojie はこのように言っています。「UAN の金融機関ネットワークを拡大すれば、世界中のさらに多くの人々が利益を得ることになります」。

David Clark Cause と連携し、IBM は 5 月に Call for Code を開始しました。この世界的な数年計画のイニシアティブは、差し迫ったグローバル問題を持続可能なソフトウェア・ソリューションで解決するよう、開発者を奨励するものです。

2018 Call for Code Global Challenge は 9 月に終了しました。10 月 29 日に開催された Call for Code 授賞式では、Project Owl が優勝チームとして発表されました。この IoT とソフトウェアからなるソリューションは、災害時に緊急救援隊と被災者がつながり続けられるようにします。2019 Call for Code の課題は、来年のはじめに発表される予定です。

Call for Code Global Award 祝賀会の録画を見る

Kevin Allen と Liz Klipp が情報提供者としてこの記事に貢献してくれました。

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